2015年7月8日水曜日

「英語に強くなる本」(岩田一男、ちくま文庫、2014)

 歴史的な名著は必ずしも現代の良き教師とはならないということ。
 少なくともこの本を読んで一番感じるのは古臭いということである。それは仕方がない。そもそも原著が出たのは1961年。内容の古さはこの本の歴史的な評価を下げるものではない。だが、参考書として使う上ではキツイ。ただし英文はなかなか使える表現が多いし、勉強の仕方も恥ずかしながらこの歳に至るまで気付かなかったこともある(特に基本動詞であるgoとかhaveとかを集中して使えるようになれというアドバイスは現代でも通用する)。つまり原著の時代性を念頭に置き、内容を取捨選択出来る人が読むべきだろう。……果たしてそんな読者はそもそもこの本を読むべきレベルなのだろうかと思うが。

 例を挙げると、この本では挨拶など俗語や会話表現に力を入れているが、正直1990年以降に教育を受けた身としては当たり前な表現も多い(例えば219ページのso muchとかdo + 動詞の強調表現とか)。この本では口語表現の原文を記載して、それがいかに省略されたか解説してくれているが(すぐに見つけたものだと例えば297ページgood-byeとか、他にも色々)、知識以上のものではない。むしろ1960年台ってこの程度のことも解説されねばならないのかと思ったほど。
 その他、日本語で書かれた解説がこれまた古くて意図が読み取れなかった部分もちらほらある。なんといっても原著が出たのは1960年台。ファッションで言えば石津謙介の「いつ・どこで・なにを着る?」が出版された時代であり、旅行にスーツを持って行けというアドバイスが書かれるくらい現代とは異なっている。言ってはなんだが、今の基準ではセクハラと感ずる表現も多少あるので読むならばそこを勘案すべし。

 上では色々と書いたが、内容に批評的視線を向けることなしに読むならば、他の本を読んだほうが良い(例えばマーク・ピーターセン氏「日本人の英語」(岩波新書)とか)。原著は1960年代の時代背景を元に書かれ、限界はある。個々の表現を覚えても良いと思うが、英語を勉強する上での心構えこそがこの本の一番の売りじゃないかと思った。