Tellurは、……現在色々物色中です。

文楽「一谷嫩軍記」(いちのたにふたばぐんき)

2020年1月15日  2020年1月15日 
 2019年12月に見たのに、今さら感想文をアップするのだ。
 文楽を何回か見てて気がついたのは、公演を見に来てるのは僕みたいなニワカ一見さんだけでなく勉強会とか開いているコアな人が多いということ。それも僕が想像していた以上に。この公演でも敦盛が武者姿で出てくると掛け声が上がったり、拍手のタイミングがみんなおんなじだったりした。みんなよく知ってるなあ。
 ウィキペディアで勉強したが、公演は内容を全部はやらず抜粋(それも前半パートのみ)らしい。確かに見ていて華麗な甲冑姿や、登場人物の心の落差や、ある人物の正体、敦盛殺しの種明かしなどエンターテイメントとして楽しめる部分は多く、ウィキペディアを読む限りでは全部公演すると間延びしてしまい、また後半部分は正直地味な気がしてならない。
 ストーリーは今風に言えば偽史モノなんだけど、どうやら実際の出来事や現実に存在するものを膨らませているらしく、そういうことを教えてもらうと空想源平合戦に見えていた作品が伏線の効いた作品に思えてくるので面白い(登場人物のファッションは江戸時代だけど)。
 そう言えば、以前見た「妹背山婦女庭訓」もかなり空想度の高い作品だった。今まで僕は江戸時代の作品って架空の出来事でも江戸時代の現実からはみ出さない作品が多いと勝手に思い込んでいたが、実は本当に豊かな想像力で持ってぶっ飛んでる世界を生み出していたんだなと気がついた。
 現実の俳優が演じる歌舞伎と違い、お人形が動く浄瑠璃は非常に人工的で、もしかしたら当時の人々は僕たちがアニメを見ているような感覚で浄瑠璃を見ていたかもしれず、そんな人工的な世界で空想度の高いストーリーが展開するのがまさに今日で言うアニメ的だった。

 お人形の演技は感情がこもっているようでさすがである。人形は表情が動かないせいか動きで感情を表現しているのだが、むしろテレビなどではない舞台という場ではその方が見やすいと思った。また、テレビのお人形劇も見たことあるが、テレビはクローズアップできるせいで人形の動かない部分もまた見えてしまうが、舞台だと遠くから見ているため動かない部分は見えず動いている部分が見やすいことから、演技(というか動き)が自然に見えた。
 舞台というのはやはり俯瞰して見ないとわからないものだなと改めて感じた。
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