2008年4月30日水曜日

「失踪日記」感想


 吾妻ひでおをリアルタイムで読んだことのない僕にとっては、彼の偉大さはわかりません。大塚英志他いわゆる「おたく」の世代が絶賛し、新聞でも取り上げられたことのある「失踪日記」ですが、まあ吾妻ひでお補正があるんじゃないのかなとは思います。作品自体は面白いし、題材もある漫画家がアル中になり病院で治療されるというあまり類のないものですからね。ただし大塚英志並みに讃え挙げるかと聞かれると、考え込んでしまいます。

 いわゆる「おたく」の世代にとっては吾妻ひでおは神のような存在らしいです。これはBSマンガ夜話やら大塚英志がことあるごとに彼の著書で繰り返していることから連想されます。で、現在の「オタク」にとっても吾妻ひでおは神様でしょうね。今の「オタク」の絵などには吾妻の影響はほとんどありませんが(大塚英志は見出したりするけど)、ジャンルなどマンガの外に対しての影響がとんでもないほど大きかったらしい。ただし僕なんかは大塚英志が言及するまで吾妻ひでおを知らなかったくらいなので、歴史に隠れかかっていた人なのでしょうね。ゆえに僕は「失踪日記」に対してもただのルポマンガ以上の感想を持てないのですよ。
 つまり……このマンガを評価するときは吾妻ひでおを知っているか否かでかなり変わってくるはずです。正直、このマンガ単体で読むのではなく、絶賛している書評などを読みつつ、「失踪日記」を読む方がより面白くて「おたく」の歴史を理解する参考になりそうです。

 考えても見れば作品の評価ってそれ単体だけでなく、作者とか当時の空気とかが当然のように加わりますからね。今回のは良い例かと。