2008年5月6日火曜日

「夜に虚就く」(堀骨砕三)感想




 

上の画像を見てください。水の中でミュータントっぽい少女が泳いでいますが、翼が生えている代わりに腕がないのがわかるでしょうか。彼女は脚を腕の替わりに器用に使い、さらに呪術で死体の腕を操ることが出来ます。これって普通のエロマンガでもマンガでもあまりいないキャラ造形なんですよね。大抵、翼のある少女は天使と同一視するために(つーか、萌え系列の属性を付与するためですが)それなりに美しい外見にデザインされるのですがね。この手のクリーチャーが普通に性交するのが堀骨砕三の特徴でしょう。

 今まで堀骨砕三の感想を書かなかったのは、文章だけで表現するのが難しいからです。グロテスク性で行けば氏賀Y太などの単語でわかるグロではないし、駕籠真太郎などの言葉で解説できる一線を越えた表現ではないのです。基本的にこれは普通のマンガの範疇で説明できる内容ではある。しかし実際の絵を見せないと堀骨砕三の特徴はわかりません。
 ここの感想文は絵を貼り付けるのを目的としていないため、堀骨砕三を書けませんでした。

 さて、僕が最初に堀骨砕三を読んだ作品が、この「夜に虚就く」だったはずです。その他の堀骨作品はスカトロらしかったので手が出せなかったのですよ……。
 で、感想はキャラがわかりにくい、ということでした。キャラの描きわけ、人物の相関関係。なによりもほとんどの登場人物はミュータント化されているので男性器2本持ちとかは当たり前の世界のため、何がどこから生えているのか何回見てもわからないってのが「夜に虚就く」の最大の障害でしょう。
 ただしそれでも面白いのですよ。個人的にキャラ萌え的要素はほとんどないと思っていますが(正確には、登場人物が僕ら現代日本に住む人間の感情と同じ原理で動くか疑問)、登場するクリーチャーなりの幸せな性的関係と生活が描かれています。
 正直、性的関係はともかくとして、この手のクリーチャーしかいない世界の日常を描いた作品って一般のマンガ界にもないのですよね。あっても微妙に擬人化しまくった作品だったり……。

↑こんなのが普通に生活してるのが「夜に虚就く」です。

 ああ、ちなみに内容は普通にグロ系ですので読むときは気をつけて。人間と蟲が合体したような造形に嫌悪感を抱くなら、まずは胃を空にしましょうw。あと、スカトロっぽい表現もありますし、男が肛門を犯されている絵も出てきます。まあ男と言ってもフタナリになったり、なぜか巨乳だったり、それ以前に蟲と共生していたりしますので別のインパクトの方が大きいかもしれません。

 上の部分で書いたけど、この作品の最大の功績は現代日本人と感情も行動原理も共有しないであろう人間に似たクリーチャーを主人公群に添えている点だと思います。まあエロマンガ界とか一般マンガ界に根付いてはいない流れでしょうが、人間ではない生き物たちを描いても面白く、また商売になるのを発見したのはすごいと思いますよ。