2008年7月12日土曜日

戦女神ZERO(エウシュリー)感想と考察みたいなの

 ランスに近い立ち位置かも。
 つまり、
  • 両作とも第1作であり、同時にシリーズ化されました

  • シリーズが進むにつれ設定が極めて多くなります

  • そして多くの外伝的作品を出したり、取り込んだりしており、物語というか設定の厚みがある

  • そしてエロシーンを入れるために最大限の設定上の努力をしています(ランスは鬼畜というか子供そのもので、戦女神は「性魔術」の存在)

  •  僕の知っている中では歴史を描いたエロゲームとして、両方とも類い希なる作品だと思っています(まあエルフのワーズワースとかもあるけどね……。ただエルフ自体既にリメイクしか作っていないので、あまり比較にならない予感)。
     同時に違うところは、
  • ランスは大きなテーマを取り入れるのを明確に避けています。それは鬼畜王ランスで対創造主戦で悩んだランスに対しての開発陣の発言(外伝ですから云々)から読み取れます。たぶん鬼畜王が神聖化される一連の流れを知らない人が開発陣の発言を見ると、何が起こってるのか理解できないくらいの否定です。まあランスの行動からどのようなメッセージを読み取ることも可能ですが、開発陣はテーマとしては掲げていません

  • また、ランスは世界に対し良い影響も悪い影響もを与えることができ、登場人物はおおむね好意的に取ります(ランス6ではゼスを魔物に攻め入れさせたが、同時にゼスを守り、ゼスの差別制度を崩壊させた)

  • さらにランスはランスとその他のキャラの戦闘能力に大きな差がないのも特徴でしょう



  •  戦女神はランスとの(意図はしていないだろうが)差別化をして成功しましたが、それは重いテーマを取り入れることに意欲的であったのが第一因かと思います。幻燐の姫将軍2での人間と闇の一族との共存や、戦女神ZEROでの罪と応報や現神と古神の共存など。まあ時には鬱シナリオとも言われてしまいますがね。
     もっとも、戦女神の設定として、セリカは命を狙われ続けるとかあるから仕方ないんだけど。たぶんシナリオがシリアスなシーンを多少オーバーに描くことも、鬱だと言われる理由の一つだと思います。
     ついでにランスの場合は別れよりも出会いに重きを置くのに対して(ランスはああいう性格だから、ね)、戦女神はシャマーラと離れるシーンみたいに、別れに重きを置きすぎる気がします。アビルースにしても重要人物の割には出会いが異様に淡泊なんだよな……。そしてそのくせ目茶苦茶引っ張ってるし。

     その別れを作り出す原因は明白で、戦女神のパワーバランスはかなりインフレ気味なのですよ。ぶっちゃけセリカと共に旅をできるキャラなんてほとんどいないし、そのセリカに力を貸すキャラは神様とか魔神とか……。劇中でシャマーラが「あんた何者なの?」的なことをセリカに言ってたけど、インフレ気味な世界観に対する製作者の自嘲だと見るのは考え過ぎかな。
     基本的にセリカは微妙に主義主張を持っているからランスと違って好きなように行動できないのが不幸を呼ぶ理由かと(乱暴な言い方をすると、ランスはガキだから壊すやりかたしかできない。鬼畜王ランス、ランス6と戦国ランスはランスが権力を握った時の姿を描いているけど、そこでの為政は甚だしく駄目すぎます。女の子を勝手に側室にしたりと明らかにランス自身の統治能力は低い。描かれていないが、ランスに権力を持たせて上手くいくのは側近の能力のお陰でしょう。
     対してセリカは極力平和な手段で揉め事を解決しようとするけど、相手が強硬すぎていつの間にか陥れられてしまいます(そして交渉が決裂した後でも何とか穏便に解決しようと無理なことをしているから、泥沼にはまってしまうのでしょう)。


     そうそう、ランスと戦女神の最大の違いはヒロインですね。ランスは誰の目から見てもシィルがヒロインであり、ランスの他に共に物語を牽引する権利を与えられた唯一のキャラである(まだ見ぬランス8は氷漬けになったシィルが原因で動くはず)。
     対して戦女神のヒロインはシュリ? でもエクリアが有名になりすぎたし……。いや、順当に考えるならばサティア(アストライア)じゃないのかな。でもハイシェアっていう案もある……。という位にばらけています。戦女神1と2では一応シュリがヒロインであったのに、幻燐の姫将軍2でエクリア株が上がりすぎ、戦女神ZEROでハイシェラ・サティアが台頭してしまったのが問題です。物語を担うヒロインがはっきりしていないのはデメリットが大きいような気がします。


     最後のシーンも恐らくランスと戦女神は違うはず。ランスは「あの」エンディングを作ることはないでしょう。もちろん魔王問題などは解決するでしょうが、対創造主とかでランスが悩んだり壮大なテーマを掲げることはないでしょう。アリスソフトってユーザ介入のイメージが強いのですが、結構、強情な可能性があります。
     対して戦女神はセリカとサティアが出逢う終わりになる予感がします。もちろんあの水竜の子が大人になって二人を導いたり。幻燐の姫将軍2の攻略本を読んで、意外とエウシュリーってユーザーの要望を取り入れるらしいので、ラストはそうなる可能性がありますね。


     ただ、なんだかんだ言っても物語としては優れています。例えばシャマーラとの別れなどは非常に美しく、そこらのノベルゲームにも劣らないと思われます(ノベルゲームは「課程」を言葉で表すことができますが、戦女神はRPGであり、共に冒険したことで「課程」を表現できます。つまりプレイヤーが実際にユニットとして使っているため、言葉の代わりとなるでしょう。場合によってはプレイヤーの体験に訴えているため、言葉よりも強く表すことができます)。
     シナリオや設定の齟齬なども極めて少ないと思いますし、買うべきかと思います。2008年を代表するエロゲの一つと言うと言い過ぎでしょうかね?