Tellurは、……現在色々物色中です。

ゴジラVSメカゴジラ(1993年版)

2010年11月8日  2017年2月24日 
 僕にとってのゴジラは84から連なる所謂平成ゴジラシリーズだけど、その中でも特にお気に入りの作品だ。何と言っても徹底的に娯楽に徹して作られているのが素晴らしい。全てはゴジラとメカゴジラの戦い、そしてベビーゴジラと人間・ラドン・ゴジラの交わりに沿って描かれているから戦闘以外のストーリーも無理がないのだ。しかも細かいところの作り込みがあるからリアリティが十分にあったりもする(ブログとか見てると「テレパシー」に対してやっぱり不満を持つ人もいるみたいだけど……僕は問題ないと思う)

 個人的な見所だが、何と言っても最初に映るメカキングギドラの残骸。メカゴジラの建造やスペックの解説をしたあとで流れる重長なメインテーマとメカゴジラの全身像。冒頭からケレン味たっぷりでこれだけでも見て良かったと思えてくる。
 なぜメカゴジラなんて製造できたのか、という疑問にも未来人のメカキングギドラを解析したからという理由を付けており、納得。メカゴジラ建造用のCGとか、細かな作り込みが今作の迫力を作ってるんだ。
 ストーリー的にはベビーゴジラにスポットを当てている。まあ、主人公の青木一馬が完全にアレな人というか、オタクの悪い側面をガッツリと出してくれて正視できないw
 京都の研究所に勝手に入り込んで写真をとるとか、有給休暇とはいえGーフォースの休んで京都に行ったりとか今では考えられない描写がでるけど、1993年だから仕方がないと思う。サリン事件も9.11もまだ起こっていないのだから。さすがに登場人物の動きとかは時代に引きづられてしまった模様(それでも平成VSキングギドラみたいに明らかな時事ネタはなかったけど)。
 子供の頃は「ゴジラすげー」で終わってたけど、改めて見るとG-フォースが完全にヒールに徹していて好感が持てる。ベビーゴジラを囮にするぞーとかベビーの可愛さもあって安心してG-フォースって嫌な連中だと思わせてくれる。ただしG-フォースは彼らなりの使命感があるんだけど。それにしてもG-フォースって国連組織さを押し出していてかっこ良いね。かつて怪獣映画でここまで外国人を起用した映画ってあったのかな。ゴジラ対策の講義もいかにもっぽいし、しかも英語で行われるからかっこ良いし。
 
 今回のゴジラはベビーを取り返しに来ただけだが、その過程で逃げ惑う人と壊れる建物、恐らく逃げてる人の多数は建物の下敷きになっていると彷彿させるシーンはあくまでゴジラが問答無用の災害だと描写している。これがG-クラッシャー作戦の正当性をもたらすわけではないけど(G-フォースが悪人面すぎるからねえ)、善でも悪でもない巨大怪獣による被害を印象付ける。これって次作のスペースゴジラとは完全に別だし、1995年のガメラへと繋がっていくのかねえ。
 メカゴジラの初陣はオーバーヒートによる活動停止。まあお約束か。
 最終決戦は序盤にフラグを立ててたガルーダとの合体によるスーパーメカゴジラ(これってスーパーガンダムから取ってるよね? 外見がそっくり)。オールウェポンアタックなど迫力満点。事実、スーパーメカゴジラは一時ゴジラを倒したのだ。
 それに対比するゴジラ復活のラドンとの融合。「魂」とか「命を分け与えた」とかじゃなくて「エネルギー」という言い方がこの場面での放射能怪獣のリアリティか。
 問題のテレパシーだけど、うーん1993年という背景も踏まえるとこれくらいで仕方がない気がするけどなあ。あまり憶えてないけど、超能力が完全にリアリティ失ったのってオウム事件が起こったからじゃないのかな。子供ながらゴジラVSメカゴジラは夢中で見れたけど、平成ガメラは既に微妙だったと思う(平成ガメラは古代人が作った存在であり、ヒロインとテレパシーで通信できるのだ)。
 ある意味、かつてはSFというと超能力が出てきたのだから古き良きSFとして僕は見れたけどね。
 それは別にこの作品が全てオカルトで覆われているわけじゃなくて、 「第2の脳」というガジェットとか「託卵」とかそれなりに科学的な要素も持っていることからわかると思う。確かに苔からテレパシーによる音楽が以下略とかは「な、なんだってー」レベルになってしまうけど、それは僕らが色々と経験してしまったからじゃないのかな。少なくとも公開当時はストーリー的な違和感(リアルさがどうこうとかじゃなくて)とかはなかったはず。
 そしてベビーゴジラが復活したゴジラの後を追って海に入って終わるわけだけど、このシーンで何回見ても涙が出てくるんだよなあ。ここでゴジラシリーズが終わっても違和感はないよね。まあ赤いゴジラとあのラストを見れたVSデストロイアは僕にとってのゴジラシリーズラストを飾る作品として一番相応しいけど。

 しっかし脂が乗りまくってる作品だった。ストーリーパートと戦闘パートで緩急ついた作りだし、音楽もまさにゴジラ。メカゴジラが登場すると後光がさすし、幕張も高層ビルがあってゴジラの町っぽい。そうだよ、1993年の幕張はあんな感じだったんだね。

 最後に突っ込み。コンテナがラドンに襲われるシーンがあるけど、自由落下してるのにも関わらずベビーもあっちゃんも宙に浮いてないよね。あと、地上に降りたラドンwithコンテナに一斉射撃を仕掛けるG-フォースの連中は鬼だと思いました。
ー記事をシェアするー
B!
タグ