2017年6月5日月曜日

「劇場版BLAME!」(瀬下寛之監督、ポリゴン・ピクチュアズ、2017)

 まさかこの作品が映画化されるとは思ってもいなかった。原作は好きだが、正直、キャラクターが生きてるのか死んでるのか、人間なのかロボットなのか、そもそも現実なのか電脳世界なのか、回想なのか現在の出来事なのかわからない絵柄で(褒めてます)、ストーリーもセリフが少ないこともあって何回も読み返さないと何が起きているのかよくわからないマンガだった。ページをめくるのにも時間がかかり、マンガを読み飛ばさせない戦略はかくの如く行うのかと感心したものだった。
 なので、映像化、それも2時間ほどの映画になると聞き、どうなるのか興味があった。

 映画を見て感動。原作では単なる1エピソードに過ぎない物語をよくぞここまで膨らませたものだ。何よりもちゃんと視聴者が感情移入出来るようになっている。原作者の弐瓶氏自体、アニメ化もされたシドニアの騎士は読者にわかりやすい物語を展開させていたが、まさかBLAME! もこういう風にできるとは。BLAME! にも人間が感情移入できる要素はあったんだね!

 キャラクターもCGで描かれたが、もう素人目にはセルアニメと変わらない。シドニアの騎士でも相当美麗なキャラデザイン・背景だと思っていたが、劇場版ということもあってかさらに進化している。ハードルがどんどん上がる。CGアニメってピクサー/イルミネーション系列のあからさまな立体感を求める路線が主流だけど(そもそも映像なんだから立体感は必要か)、わざとセルアニメっぽくノッペリと描く今作は平面的な絵柄の進化系だと思う。
 また、都市の内部構造も改めて線が整理されていて、こうなってたんだと感動。映像として絵が動くのを一番活かせるアニメである。都市ばかりでなく、各種ガジェット、重力子放射線射出装置とか、携帯食料とか、もろもろも動きのお陰でリアリティが出ている。
 しばしばヘルメットなど主観映像(?)が出て来るが、単なる雰囲気だけの要素にとどまらない。サナカンに殴り掛かる霧亥。格好良い! 霧亥のネット端末遺伝子なしの光景だけが延々と描かれていて、なんかターミネーター2っぽいと思っていたが、こう来るとは。あの殴り掛かるシーンはこの作品で1、2を争う傑作だと思う。

 音は事前に言われていたように素晴らしい。もっとも上映環境にもよる。家で見ると映画館のような上映環境はないので、多少評価が落ちるかも。ニコ生での制作者の発言によると、見えていないシーンでも視聴者の背面で効果音を鳴らしているくらい音響には気を使ったらしい。うーん、家で手軽に映画館みたいな環境を楽しめれば良いんだが、多分普通のスピーカーやヘッドフォンじゃ何が何やらわからなくなってる可能性がある。ネットカフェとかでそんなサービスやってたら、ちゃんとこの作品の円盤握りしめて見にいくぞ。

 というわけで映画館で数回見れて良かった。恐らく家だとこれほどの感動はないだろう。もっと弐瓶氏の作品が映像化されれば嬉しいし、またポリゴン・ピクチュアズがより活躍できることを応援している。