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千石サドンクライマックスで使ったアウトキャストギャングとその戦い方の雑感

2025年11月13日  2025年11月13日 
(全てが終わったあとの集合写真

 1. 前説

 ネクロムンダはキャンペーンが面白いという意見に異論のある人は少ないだろうが、ネクロムンダは各ギャング(40kでいう陣営みたいな「勢力」概念)間でバランスが取れているという意見に同意する人は同じくらい少ないだろう。同様に、ネクロムンダでは各種のキャンペーンで全プレイヤーが公平もしくは平等に戦えるという意見に同意できる人は少ないだろうし、ましてや多くのシナリオはプレイヤー間の格差が起きにくいという意見には首肯する人なんていないと思う。

  ネクロムンダの難しさとはここで、元々勢力ごとに戦い方の難易度(あえて「格差」という言葉を使っていないことに注意して欲しい)が大きい上に、それをキャンペーンギミックやシナリオで増幅して強弱を付け、「ダイナミックな物語」(悪い言い方をするとプレイヤーのギャングが崩壊する的な意味)にするような、そんなバランス調整がされているのだ。特にリロールのギミックがないため、バトルにしても、ポストバトル処理にしても思うようにならないことは多い。ただ、こんなにダイス運に左右されるゲームだからこそ、キャンペーンの過程で色んなドラマが生まれ、楽しいのだ。……キャンペーン中は苦しいが。

 よくネクロムンダ初心者に、「見た目が好きなギャングで始めれば~」というアドバイスがあるけど、個人的にはそれは厳しいと考えている。ゲーム的な強さはさておき、プレイヤーが射撃戦闘/白兵戦闘のどちらを好むか、エリートアーミー/ホードアーミーのどちらを好むか、一部のスターを強くしたいか/メンバー全員を育てたいか、正面から相手のギャングを殲滅したいか/シナリオ勝利だけができれば卑怯な手段で戦うのも厭わないか、などプレイヤーの指向との兼ね合いがある。もちろん、ある程度、見た目でギャングの戦い方が想像つくようにはなっているが、でも例えばエッシャーとオーロックとデラクの違いとか見た目だけではわからないと思うし、ましてやゴライアスがあの体で射撃もできるなんてわからなく、コーダーはどんな戦い方をするなんて想像できる人はいないだろう。そして戦術カード含めたゲームメカニクスとしてのギャングの数値上の強さも確実に存在する。単純に固くて白兵も射撃もできて有用な戦術カードも多いゴライアスは強いし、射撃が当たりやすく強い武器が多いヴァン・サールも強い。そして知らなきゃ悪しきゲーム体験になりかねないギミック共。インフィルトレーションを多用してウェブガンを放ったりオーバーウォッチで相手を妨害するデラク、同じくオーバーウォッチを使うがグレネードランチャーで外れにくい範囲攻撃を繰り出すジーンスティーラカルト、白兵でも射撃でもタゲると判定が必要なコープスグラインダーカルト。ネクロムンダを満足して遊びたいなら、ここらへんの「知らなければ自分のプランを通しにくい」トピックについて、自分の選んだギャングでどう対応するかを考えておいた方が良いだろう。

 その上で、遊ぶギャングを選び、強みを活かす方向でロスターを作っても、それが実際にキャンペーンで活かせるかは別だ。なぜなら、キャンペーンという環境では単にギャングの強みを押し付けるだけでは効果的ではないからだ。キャンペーンでの勝利(つまり何かを表彰される)という目標があるとすれば、そのためにギャングを成長させる必要があり、その成長のためには通常、各バトルに勝利したり、最低でもバトルに参加する必要がある。でもバトルに参加するだけではキャンペーンの目標を達成できず(要はバトルに負けても、ギャングメンバーは無事もしくは保有テリトリーが無事であることがキャンペーンの勝利に必須だけど、通常負けて無事なことなんてないわけだ)、実質的にはバトルには勝つ必要がある。

 ギャングの成長という要素が非キャンペーンのゲームと比べて異なる要素で、そして成長というものは下に書くキャンペーンの要素に左右される傾向がある。要するに……ギャングが成長できるか、キャンペーンの目標を達成できるか、は下記に書くキャンペーンの各種要素が自分のギャングとマッチするかに左右される面が大きいと考えている。

環境:ハウスルール(=アービトレイターの考え方。ネクロムンダキャンペーンはバランスが極めて悪く、大なり小なりアービトレイターがハウスルールを定めるだろう。悪い言い方だがアービトレイターの推奨する戦い方をするとナーフを喰らわないで済む。)、参加者のギャング(メタだ。自分のギャングがどんなに白兵に強くとも、他の参加者が全員射撃専門なら勝ち目は薄いだろうし、自分のギャングがコーダーで他プレイヤーが全員ハザードスーツを優先する人ならコーダーの強みの1つがないも同然。)

ギャング:ファイターステータス(数値でわかるだろう。)、ファイターのスキル(ステータスやハウスエクイップメントリストと相乗効果はあるか?)、6大ギャング(2025年10月時点では、さらにアッシュウェイストノマド、スカット及びエンフォーサー)なら固有ルール(言わずもがな。)、戦術カード(固有カードが強いギャングはそれだけでアドバンテージを持つ。わざわざ一般カードを買い集めなくて良いというリアルマネーやリアル時間の意味で……。)、ハウスエクイップメントリスト(見落とされがちだが、ギャング設立時はここから装備を選ぶので重要。ついでにハウスエクイップメントが強ければトレーディングポストのレアリティロールに一喜一憂する必要もない。)

キャンペーン:固有ルール(ダークアップライジングキャンペーンが特徴的だが、キャンペーンのルール次第ではどんなにあがいても不利なギャングや所属勢力がある。)、テリトリーから得られるメリット(Ruins of Jardlanキャンペーンのようにバトルさえすれば大量に金が入るキャンペーンもある。)、テリトリー獲得条件(敵を大量に倒す必要のあるダークアップライジングキャンペーンや、シナリオでゲット資材から自由にテリトリーを作れるアウトキャストキャンペーンなど色々。テリトリー獲得条件が自分のギャングとマッチするかが重要。)

シナリオ:金(意外とシナリオによって得られる金は異なる。特に負けても金を貰えるシナリオは美味しい。)、経験値(ファイターを成長させる直接の要素。)、勝利方法・勝利条件(例えばINTの低いゴライアスがINTチェックで勝利ポイントゲット的なシナリオで勝利するのは厳しいだろう。)、初期配置(特殊な初期配置ルールだとそれに特化したギャングに為すすべなく倒される場合が多い。)、戦場作りのルール(白兵ギャングでテレインが少ない戦場を作ると勝ち目はない。)、固有ギミック(言わずもがな。バランスが取れていないと言われる最大の要因。)

 つまり、キャンペーンの目標を達成したいなら、ギャングの選択もさることながら、キャンペーンの特性やシナリオも考慮にいれないと厳しいというのが僕の経験である。とはいえ、当然ながらネクロムンダのキャンペーンは一通り遊んだだけではまだギミックやバランスが見えてこない面が多く(直近のRuins of Jardlanキャンペーンですら他のギャングで再トライしたいと思った)、シナリオに至っては現時点で100を超えるシナリオがあり、アービトレイターですら遊んでいない可能性がある。僕も一通り目を通したつもりだが、それでも実際に遊んでみて説明を読むのとは異なると思った時も何回もあるし、キャンペーン中に自分のギャングとの相互作用を見つけて急遽それを軸に戦略を立てたこともある。四半期に一度ネクロムンダキャンペーンを遊んでいるという剛の者でもない限りは、普通はどこかが初見である人の可能性は高い。要は、こんな記事を書いている僕もエラそうなことを書いておきながら、出たとこ勝負ではあるのだが、それでも自分が納得できる限り準備をしてキャンペーンに望まないと、不満たらたらになる恐れがある。何といっても、途中でリーダーが使い物にならなくなったり、チャンピオンが大量に死んだりしてギャングを作り直す可能性もあるのがネクロムンダであるからだ……。

では、今回の千石ムンダキャンペーン(千石サドンクライマックス)では何を考えていたかというと・・・

2. 実践

(集合写真で物陰に潜むリーダー)

 まず選んだのがアンダーハイブアウトキャストギャング。単純に、リーダーを自由に、ネームドキャラからすら持ってこれるカスタマイズは楽しそうだったからだ。そう、確かにリーダーのカスタマイズと成長は楽しかった。リーダーだけは……。

 アウトキャストギャングはチャンピオンとギャンガーがそれぞれ性能が悪いため、双方ボルトガンやショットガンを装備させ、射撃役とすることにした。
 また、このロスターは火力が足りないことがわかっていたため、ギャング設立時からブルートを採用した。サイキックオグリンことAwakened Ogryn。
 そしてアッシュウェイスト仕様だったため、ハウスルールでコストが高くはなっていたがリッジハウラーを導入して初期ロスターとする。……何でも、すでにアッシュウェイストを遊んでいた人いわく、リッジハウラーは壊せないそうな。そんな前情報を得ていたため、リッジハウラーを選んだ。

 つまり、白兵に特化したリーダー、射撃で援護するチャンピオンとギャンガー、ダメージ役の補佐をするブルート。チャンピオンとギャンガーは将来の強化も見据えてボルトガンやショットガンを装備させる。車を強化し、できればもう2台ほど車を手に入れたい、とキャンペーンが始まる前には考えていた。

 しかし実際には、チャンピオンはBS4+なので当たらないこと。今回のキャンペーン、射撃を行うとヒットロール2+でも失敗することが多々あり(キャンペーンのギミックではなく、単純に今回のキャンペーンで僕のダイス運が悪かった)、かなり射撃が使えず、キャンペーン開始早々計画を練り直してしまった。後から振り返ると下手にショットガンを持たせるよりも素直にラスガンでpinさせる役に徹した方が良かった。
ブルートに至っては、ブルートとしての役割しかなく、サイキックもWil8+なので長い時間かけて成長させる必要があり、当初は成長させてゆくゆくは一流のサイキッカーにする予定だったが、WS4+なので攻撃が当たらない。武器も白兵武器しか持っておらず、攻撃のチャンスすらなかった。第2戦目に持て余し、そのバトルで病院送りになり、治療費をかけて死亡という結末を迎えた、キャンペーンなんてそんなものである。

 上でキャンペーン始まって以降早急に育成プランを練り直したと書いたが、Awakened Ogrynは死んだし、射撃がなかなか当たらない中、細々と成果を挙げたのは我らがリーダーなので、リーダーを白兵役として全資金を投入しつつ、射撃役は当たらないのでテンプレート武器を持たせる方針に第3バトルか第4バトルの時に変更した。

 まず最初に行ったのがリーダーを強化するためMnemonic Inload Spikeを複数回使用。さらにリーダーが死なないようにStinger Mouldを装備。今回のキャンペーン、お金がかなりジャブジャブ入るので、このような消耗アイテムに投資しやすいというのがポイントであった。さらにチャンピオンとギャンガーにもMnemonic Inload Spikeを使用。特にギャンガーは安いのでMnemonic Inload Spikeの結果死んでも損した気にならなかったのが大きい。
 第4バトル後、チャンピオンはひらすらテンプレート武器を撃つが、テンプレートは射程が短くて使い辛いと感じていた。しかしアウトキャストギャングは全員BS4+なので通常の射撃武器ではまともに当たらない。後述するがそもそも、アウトキャストギャングはギャング編成のルールがキツいのが最後まで響いた。この時期に、持っていたビークルのリッジハウラーをヘビービークルに買い替えた。元々、ヘビービークルはハウスルールでカスタマイズがしやすいので気に入っていたが、ヘビービークルの耐久が不安だったのでリッジハウラーにしていたのだ。リッジハウラーはハウスルールでコストが高く、売ったお金もかなりガッポガッポだったのでリーダーの強化に回せた。結局、ダウンタイム前にビークルを完全に売り払ってしまい、多少無駄があったものの、ビークル分の資金をリーダーに回すことができた(実のところ、故障したヘビービークルを売っただけで、将来的に別のビークルを買うつもりだったが、ルール的にはビークルを持たない運転手は消えるんだな。そのため運転手も育っていたのにいなくなってしまった……)。

 シナリオに関しては第5バトルのCargo Runの影響が大きい。白兵戦、テンプレート攻撃との相性が良すぎて、マイギャングの全てを全ベットしてしまう。正直、アウトキャストギャングはチャンピオン以下の性能が悪いので、これくらい振り切った戦略を持たないと遊んでて楽しくない。シナリオ選択サイキックに依存したギャングだから当然穴はあり、対策されれば即詰むんだけど、盤外戦術的な僕の目指したい戦いと合っていて、遊んでいて楽しかった(とはいえワンアイデアすぎるので、他の人にアドバイスするなら、せめてロング・ライフルでの援護など、サブギミックも搭載した方が良いと思う。あと、たぶん対戦相手は楽しくなかった可能性が高い……)。
 ダウンタイム後は意図的にギャングレートを下げるため、収入のほとんどをChemとMnemonic Inload SpikeとStinger Mouldに費やした。僕のギャングの勝ち筋はリーダーを暴れさせることであり、リーダーが暴れられる条件は白兵戦ができること。そのシナリオはCargo Runしかなく、Cargo Runで勝つにはまずはイニシアチブを取らねばならない。イニシアチブを確実に取るには戦術カードが必要で、そのためには12枚の戦術カードを得る(=出撃ファイターのコストが相手より1000クレジット以上低くする)ことと考えた。この戦術が全て完璧に機能したのは1戦しかなかったが、確かに強力な戦術だった(あまりに強力すぎてCargo Run以外をする気が失せたほど)。



3. 千石サドンクライマックスの反省点

 キャンペーンが終わってみると、実際のところ、戦術カードを全てゲットする必要性は薄く、自分と同程度のギャングレートなら僕の化け物リーダーがあまりにも強い(その分リーダー以外のメンバーは最低限の装備)のでそこそこ勝てていた。最終的にリーダーは1000クレジットオーバーなのだから、そりゃ強い。多少相手の方が戦術カードが多かろうと、正面から粉砕できた。あまりにも強すぎて今後他のギャングで遊ぶときに、白兵戦のショボさに耐えられる自信はない。

(キャンペーン終了時のリーダーの性能……改めて見るとバケモノだな)

 今回、サイキックをかなり入れたが、なぜサイキックにこだわったかと言うと、単純に新しい要素だったからだ。せっかくアウトキャスト本でサイキックを大量に設けられたのに、使わないなんてもったいない。自分で使ってみないとサイキックの重要性なんてわからないよね。というわけで、シナリオ選択サイキックことPredognitionを使用していた。ただし、これを獲得したサイカーはどれもWil8+なので使用するまでの歩みが長かった。そして実際に使い始めると、肝心な場面でミスるし散々だった。所詮サイキックはダイス運が全て。そしてネクロムンダのサイキックはアクション扱いなので、サイキック判定に失敗するとアクションが無駄になってしまうのであまりお得ではない。Predognition自体、対抗方法が比較簡単なのである(とはいえ、Precognitionは対策していない人には非常に刺さるわけで、対抗しようとするとそれだけでギャングに1枠使ってしまう。やはり多少はPrecognitionを弱体化させても文句は言えない。)。
 今回、化け物リーダー&テンプレ射撃マンと特定のシナリオのシナジーがとんでもなかっただけで、一般的なシナリオだとギャングをそれに向けて尖らせてもあまり効果は出ないためわざわざこのサイキックを選ぶ価値はないかもしれない。
 なお、サイキック、ちゃんとルールを読むとなかなか悪用できるので、今後もサイキックは使い続けたい。個人的には、戦場の広範囲に影響を与えるようなサイキック(具体的なサイキック名は伏せる)は消費アクションに対し非常にお得だと思う。逆に攻撃技のような単体モデルにしか効果がないサイキックは、普通に何らかのアクションするのと変わらないので、相対的にお得度は低い、と感じた(とはいえ、一部のサイキックアタックなら、Wilチェックに成功すればダメージが入ったり敵を押し出せたりするので、ヒットロールだのダメージロールだのしなければならない射撃より使いやすいかもしれない。ただ、サイキックは結構射程が短いのが欠点。)。

 また、このキャンペーンが初めてのビークル戦だったが、思ったよりもビークルは硬い(特にリッジハウラー相当のビークル)。12+6回攻撃し、全然HPが減らず、半数以上LoCテストさせてもRollが出ず、こりゃ破壊できないなと半分あきらめたとき、偶然即Rollになって勝ったのもあれば、HP4を減らすのに10回以上攻撃を割り振って何とか倒した車もあった。対ビークル戦、ダメージ2以上の武器でないと厳しいと聞いていたが、まさにその通りだった。僕のリーダーの白兵攻撃は、セーブロールを無効化する特性があるので、セーブロール込で殴らないといけないならリッジハウラーは白兵攻撃じゃ壊しきれないと思う。

 いずれにせよ、今回のキャンペーンでかなり良い結果を出せたのはリーダーの強さのおかげだが、リーダーを強化するにはお金が必要で、一方で大量のファイターを雇用したり、大量のファイター用の装備を用意するお金も必要であるため、お金を得られないシナリオ・キャンペーンでは戦いづらい。結局、チャンピオンも3人目は雇用できずにいたし。
 そのため、上で書いた戦い方を真似しても他のゲーム会というかキャンペーン会では通用しないかもしれない。

4. キャンペーンでの成長性


 今回のキャンペーンとは関係ないが、ギャングの育成方針を決めるため、知っておいた方が良いこと。それはキャンペーンでどれだけ成長できるのか、ということである。将来の成長を見据えて育成するのは良いが(むしろネクロムンダの楽しみはそこにあると思うが)、1サイクル1回戦いを申し込み、1回申し込まれ、それが3サイクルあり、その3サイクルがダウンタイムを挟み前編と後編に分けて行われる12回のバトルにおいて、どれだけの育成になるのか把握しなければ絵に描いた餅になってしまう。/p>

 12回バトルをすると言っても、シナリオや怪我の関係で1人のファイターが全バトルに出られるわけではないし、相手が早期に撤退したり、そもそも相手を倒すことが目的でないシナリオなど、個々のバトルでも経験値の入りやすさにブレが多いのだが、一般的なキャンペーンでの成長具合を経験則で書き出してみよう。

  • ジューヴはスペシャリストになれない(経験値が最小限のアドバンスでも6バトルで3回成長させるのが難しい)
  • 非スペシャリストのギャンガーはよほど運が良くないとスペシャリストにはなれない。そもそも非スペシャリストのギャンガーは12回のバトルで成長機会が2~3回が関の山。
  • スペシャリストのギャンガーは持っている武器によるが、Tを上げ、BSを上げる程度。
  • チャンピオンはTを上げ、BSかWSを上げ、スキルを1つ得られると思う。
  • リーダーはTを上げ、BSかWSを上げ、スキルを1~3得られると思う。

 つまり、非スペシャリストのギャンガーとジューヴはほぼ成長できない、スペシャリストになれないと考えて良い。そればかりか、チャンピオンやリーダーすら思ったより成長できない。
 ギャングの育成方針は以上を考慮して考えると良い。

5. アウトキャストギャングの気付き

 アウトキャストギャング編成ルールは下記の通り。

  • リーダーが死亡するとギャングは解散
  • ギャング設立時、チャンピオンは2人(!)
  • チャンピオン1人につき、ギャンガーは3人(!)
  • ギャング設立時、スペシャリストはいない(!)
  • アウトキャストギャングでギャンガー扱いになる車の運転手はいない(!)
  • リーダーとチャンピオンはスキル構成を指定する「アーキタイプ」を選択する
  • リーダーはアフィリエーションを選び、アライアンスやアクセスできるハウス装備リストを指定する
  • (リーダーはネクロムンダの全てのキャラクターから持ってくることができる)
  • (ギルド等アライアンスの傭兵メンバーをリーダー・チャンピオン・ギャンガーとして持ってくることもできる)

 設定上、強いリーダーに率いられた有象無象の集団、というギャングでそれを反映したルールではあるのだが、キャンペーンで実際に運用すると極めて大変だった。色々カスタマイズができ、組み合わせ次第ではそこそこの性能になるものの、基本は低水準なヴァニラ性能のギャングであるため、金に糸目を付けないリーダーの強化が必須で、そもそもリーダー自身が反則気味の性能をしていないと、周囲のギャングの強さに喰らいつけなかった。
 ギャンガーも射撃性能が低い上、成長がランダムなので戦力として信頼しきれなかった。
 アウトキャストギャングのウィークポイントはチャンピオンで、BS4+と射撃性能が悪く、WS3+と白兵戦向きかと思いきやA1しかないアンバランスさである。BS3+なら多くのギャングと同じ射撃チャンピオンとして扱え、WS3+でA2なら特筆すべき性能ではないが白兵チャンピオンとしての道が拓ける。WS3+・BS4+・A1をどうにかして活用しなければならなく、アウトキャストギャングを作ろうとして最初に挫折するところだろう。

 そして私見を述べるならば、デフォルトで用意されているリーダーの性能はチャンピオンの欠点をカバーできるほど強くはないため、素直に好きなキャラクター(アンボットでも怪物でも可)をアウトキャストリーダーへ昇格(elevate)させよう。そのキャラクターがブルートやドラマティスペルソナのようにスキルや装備を持っているなら、デフォルトの所持スキルを削除して、自分の選んだプライマリースキル(プライマリースキルはアーキタイプで決定)から通常のギャングリーダーのようにスキルを1つ得ることができるし、デフォルトの所持装備を削除して、通常のアウトキャストリーダーのequipmentルールどおりに装備を得ることができる。
 ただし、デフォルトの装備を削除してもファイタークレジットが減るわけではなく、代わりに得た装備分ファイタークレジットが増えてしまうので、装備を変えるときはよく考えた方が良い。
 なお、キャラクターをアウトキャストリーダーへ昇格させ、デフォルトの装備を保持した場合、wargearは通常のアウトキャストリーダー通り自由に付け替えられることが明言されているが、weaponは書かれていないため、新たにweaponは与えられないものと考え方が良い(ブルートやネームドキャラみたいにequipmentルールがない場合。一般的なギャングファイターをリーダーに昇格させ、equipmentルールを保持するなら、そのファイターのequipmentルールが適用されるはず。スレイブオグリンやコープスグラインダーカルトがわかりやすい。)。

 ギャンガーは精神ステータスが低いものの、戦闘ステータスが一般的なギャンガー相当なのに、ファイタークレジットが30なので結構お得。ただ、チャンピオン1人につき、3人のギャンガーが必要という制限があるため、烏合の衆となってしまう。ギャンガーはキャンペーン開始後トレーディングポストからレア・イリーガル武器を持てるので、トレーディングポストをフル活用できるなら強くすることは可能。

 また、リーダーはアフィリエーション(どこのギャングとつながりがあるか、的な意味?)を選ぶ必要があるが、選んだアフィリエーション次第では6大ギャングのハウス装備をアウトキャストギャングもアクセスできるため、ギャンガーが持てるなら6大ギャングのハウス装備を利用しても良いだろう(ただし、アフィリエーションにはデメリットもあるので、要検討だが)。

 アッシュウェイスト系のキャンペーンで遊ぶならこれも大きく不利になる点だが、ギャンガー扱いになる車の運転手がいないため、チャンピオン1人につき、ギャンガーを3人を維持したまま、さらに汎用運転手を雇う羽目になるわけで、人数が無駄に(まさに無駄に)どんどん多くなっていく。アッシュウェイスト系なら車をいっぱい持ちたいのだが、ギャングの人員が多くなりすぎるとシナリオクルーのランダム選出がきついため、アウトキャストギャングは基本リッジハウラー1台とかで車を抑えた方が良いかもしれない。

 そして、ギャング設立や戦闘はこなせても、精神ステータスの低さは念頭に置いた方が良い。Clが低いからボトルアウトしやすく(ボトルチェック失敗後から2、3ラウンドでリーダーとリッジハウラーの運転手のみ最後まで戦場に残っていた)、ターゲットプライオリティも基本無視できないため射撃戦で不利になりやすい(ファストショットやガンスリンガーを得ても、ターゲットプライオリティの対象の敵しか撃てないのだ)。また、Wilが低いからコープスグラインダーカルト相手に非常に不利だし、それ以外にもインセイン状態になりやすい。Intが低いため特性のシナリオやテレインで苦労しやすい(Intを使うギミックは多くはないため、無視する選択はある)。そういう意味で対戦相手やシナリオの相性をモロに受け、挽回が難しい傾向はある。

 アウトキャストギャングの運営でネックになるのはチャンピオン1人につき、ギャンガーは3人必要になる点だろう。ギャンガーの装備を整えるだけでも結構お金がかかるし、アッシュウェイスト以降室内戦でも初期クルーがMAX7人とかなのでリーダー・2人チャンピオン・6人ギャンガーは多すぎる感はある(しかもギャンガーが1人死ぬとチャンピオンを維持できないし)。安く、そこそこ戦えるギャンガーをいかに作るかが鍵となる。

 戦術カードは結構使えるカードが多い。やはり大量の弱いギャンガーがいる、という前提で作られたのだろうか、戦術カードそのものは強いと思う。ただ、他の専用本があるギャングとは異なり、アウトキャストギャングは全てファイター用の戦術カードであり、ビークル用もしくはアッシュウェイスト系の戦術カードは持っておらず、そこも弱点の1つとなるだろう。

 さて、上でアウトキャストリーダーは他のファイターを昇格(elevate)させようぜ、と書いたが、ではどんなリーダーを作れるのかと問われると・・・

6. アウトキャストギャングリーダーの一例

 僕がやってみたい(または試したことのある)アウトキャストギャングリーダーを例に挙げる。一部のビルドはGWの意図してないであろうルールの組み合わせをしているので、取扱に注意。

  • Piscean Spektor:直近の千石ムンダで僕が試したデラクのブルート。突撃したら10回攻撃のアレ。あまりに強すぎてこのリーダー以外でバトルする気が失せるのが欠点。たぶん以下で挙げるファイターより頭1つ抜けて強い。戦い方は、まさに突撃して10回セーブ不可の攻撃を繰り出すだけ。ダメージが1しかないので思ったよりは火力が出ないのは御愛嬌。
  • Ambot:アウトキャストギャングの定番。アウトキャストリーダーはwargearを自由に持てるのでグレネードを投げるなど射撃も充実する。あまりに定番すぎて僕はこれで遊ぶ気はない。戦い方は、インフィルトレーションからグレネードを投げても面白いだろうし、素直に突撃するのも強い。
  • スレイブオグリンギャングリーダー:これも定番。augmetic武器の利用を諦めれば、トレポスから射撃武器含めて様々な武器が使いたい放題。フェロシティスキルも付けることができる。augmetic武器を使いたい場合、スレイブオグリンギャングリーダーのequipmentルールが適用されるため、追加白兵武器は当該リストに載っているものしか使用できないし、射撃武器なんてもっての他。……だが、そこらへんの裏をかいくぐる方法が、近年開発されたのだった。詳細は後述のOgryn Hunt Leaderの項目にて。
  • Ammo-Jack:ボルトガン・パワーハンマー・メッシュアーマーを持っているのに50クレジットなのは安い。ただ、W1なので殺されやすい。アウトキャスト本が出たときにYaktribeで話題になっていたギャングリーダービルド。戦い方は、一般的なギャンガーと同様だと思う。
  • Claim Jumper:Ammo Jackと同じで、W1だけど持っている装備やルールの割に価格が極めて低いハンガーズオン。スカットのT4があるためAmmo Jackよりは固い。これも戦い方は、一般的なギャンガーと同様だと思う。
  • 専用本の追加チャンピオン系:書き方が難しいが、要は既存のチャンピオンとは別に専用本で追加されたチャンピオン類。全体的に白兵戦向きの性能だが、追加チャンピオンは専用ルールが付いており、これを使うリーダーも面白い。例えばデラクは任意のラウンド開始時にインフィルトレーション配置ができるし、オーロックはアクティベーションすると周囲にNerves of Steelを付与することができる。
  • Warp Horror:バトル中に勝手に消えてしまうデメリットはあるものの、メモラブルデス以外のラスティングインジャリーを無効化できるのは良い。装備選択肢が武器だけなのでいざとなったら武器を自分で付けることを選択できるのも良い。デフォルトの武器も元がブルートなのを考えると結構使いやすそうで良い。戦い方は、ラスティングインジャリーに強いことを活かした特攻だろうか。
  • Vartijan Exo-DrillerやVan Saar Ash Wastes 'Arachni-Rig':白兵・射撃どっちもいけるブルート枠は強い。
  • Cult Alpha(ジーンスティーラーカルト):ステータスは平凡だが、extra armの特殊ルールが強い。ヘビーウェポン持たせて歩いて撃とう(アウトキャストギャングの設立時にヘビーウェポンを購入できるのか!?)。戦い方は、一般的なギャンガーと同様だと思う。
  • Enforcer ‘Sanctioner’ Pattern Automata:個人的一押し。ブルートの癖に射撃武器(それも単なる攻撃武器だけではなくフラッシュやスモークの絡め手が使える)を持っており、しかもリペアシステムで継戦能力が高く、Mobile Bulwarkで味方を守ることができる。ダメ押しにGot Your Sixスキルがデフォルトなので机上の計算では極めて強いリーダーにできる。なお、こいつをリーダーにしてブルート枠をAmbotにすれば恐怖のダブルロボットコンビが誕生する。
  • Ratling Hunt Leader(Necromunda Apocrypha - Bonedry and Broke):ベネターギャングでアウトキャストリーダーを作る正統派。アウトキャストリーダーは全てのキャラクターが使用できるので、当然ベネターギャングに載っているラットリングも使用できる。T2ながら特殊ルール爆盛でベーシック武器をメインとする安い射撃リーダーを作りたいときにぜひ。
  • House Hunt Leader(Necromunda Apocrypha - Bonedry and Broke):上記ベネターギャングの6大ギャング版。ハウスレガシーがファイタールールになったため、ベネターギャングリーダーのequipmentルール(レア11まで)を保持しつつ、ハウスレガシー装備にアクセスできる(デフォルトのアウトキャストリーダーのequipmentルールはレア9なので強い)。ハウスレガシー装備はアフィリエーションとは別個に選べるので、アフィリエーションでヴァン・サール、リーダーはハウスレガシーでゴライアスとかいう技もできる。欠点があるとすると、ハウスレガシーはあくまで雇用時のみに使えるため、ギャング設立時に買えないなら二度と手に入れることはできないこと、ハウスレガシーとして買えるアイテムは6大ギャングリーダーのものと名指しで書かれているため、6大ギャング特有のトリックを堪能できる追加チャンピオンやプロスペクトの装備にはアクセスできないことである。その他、ファイタープロファイルにゴライアスステータスがないのが欠点かな。Ratling Hunt Leaderと比べると、ルールをかいくぐって装備をカスタマイズする意地の悪いビルドだと思う。戦い方は、買った武器に応じて、お好きなように。
  • Ogryn Hunt Leader(Necromunda Apocrypha - Bonedry and Broke):上記ベネターギャングのオグリンリーダー版。アウトキャストギャングではどうあがいても手に入れられないArc WelderやPaired Augmetic Fistを手に入れられる唯一の方法。特にPaired武器は僕の知っている限り、これ含めて7、8の方法でしか手に入れられないはず(改めて数えると結構多い)。House Hunt Leader同様、ハウスレガシーがファイタールールであることを利用して、グラブピストルを持ったArc Welderオグリンとかいう構成も可能。個人的に、6大ギャングのレガシーアイテムはトレーディングポストに売っているので、わざわざアウトキャストギャングにするならオグリンか後述するスカットを使用したい。……これは明らかにルールの裏をかいて入手装備を最大化しているだろう。オグリンハウス装備へのアクセスで地味に嬉しいのが、Furnace Plateを使えるところ。5クレジットで正面5+セーブは偉大。
  • Squat Hunt Leader(Necromunda Apocrypha - Bonedry and Broke):上記ベネターギャングのスカットリーダー版。アウトキャストギャングではどうあがいても手に入れられないスカット武器を手に入れられる唯一の方法。特にスカット用パワーフィスト、メルタガン、サイズミックブラスト弾のグレネードランチャー、パワーパックはここでしか手に入れられない。1つ上の項目でも書いたが、アウトキャストギャングにするなら上記オグリンかスカットの方が相対的にお得だと思う。これもルールの裏をかいたやり方だろう。欠点があるとすれば、スカット専用のお役立ちエキゾチックビーストは、さすがにコストの関係からギャング設立時には入れられないと思われるので、おそらくアウトキャストギャングでスカットのエキゾチックビーストを見る日はないだろう。
  • ハウスエージェント(例、Servant of the Silent Ones):たぶんネクロムンダで最も使われないルールの1つがハウスエージェント。雇い方がわからない、変な英語(ファイタールール)がいっぱいで複雑そうと躊躇している人も多いのではないだろうか。そんなハウスエージェントも所詮はアウトキャストリーダーの素材でしかない。今回はネームドキャラとの合わせ技でデラクのネームドハウスエージェントであるServant of the Silent Onesを取り上げたい。ファイターとしての性能はデラク本を参照すれば良いが、ハウスエージェントをアウトキャストリーダーとする際の一番のハードルはクレジットをいくらにするか、だろう。ハウスエージェントは雇うときに2d6し、出目に応じて給料が変わるからだ。Servant of the Silent Onesは100クレジットか200クレジットである。100クレジットならファイター性能に対して非常にお得なので、ぜひともアービトレイターを説得しよう。
  • Caryatid:これはネタ。単に0円だから入れてみただけ。T2だしBSが設定されていないしWSは5+だし、で戦闘メンバーにはできないでしょうね。……BSがなくてもウェブガンって使える? 天使くんを使いたいなら、素直にオーバーシーア係にしよう。
  • 各種ネームドキャラ:面白いルールが付いてたりして、楽しいと思う。バウンティハンターをアウトキャストリーダーに指定して、他のプレイヤーにそのバウンティハンターを使わせなくする戦術はたぶんアービトレイターからNGが出ると思う(そもそもバウンティハンターはあまり強くないので、わざわざやる必要性も薄いが)。
  • ビークル(運転手付き)・・・NG。Death of a Leaderの項目に、リーダーとはGang Leaderルールを持つ「ファイター」と書かれていた。Gang CompositionにはリーダーはGang Leaderルールを持つモデルだと書かれていたのでいけるかと思ったが、断念。運転手をリーダーにしたい人は、そういうネームドキャラを期待しよう。

7. アウトキャストギャングを遊ぶということ

 正直、ネクロムンダ初心者にはアウトキャストギャングはおすすめしないし、今の各ギャングが好きな人にもおすすめはできない。
 アウトキャストギャングはギャング全体でトレーディングポストを使い、各ファイターでそれぞれ好きなスキルセット(アーキタイプ)を付けられ、場合によっては6大ギャングハウス装備にもアクセスでき、そしてリーダーは膨大なカスタマイズができる。サンドボックスという言葉があるが、ギャングそのものがサンドボックス的であり、とりわけリーダーは割と何でもありな、そんなギャングである。その代わり、house of ……のようにギャング特有の特殊能力・スキル・wargearはない。

 アウトキャストギャングを選ぶことは、サンドボックス中のサンドボックスであるリーダーについて考えることと同義であり、自由に遊びたい人ーー正確にはルールの穴をついたりする行為が好きな人ーーでなければ厳しいと思う。
 毎回毎回対戦相手に説明し、説明を聞いて「何だそりゃ」という顔をされ、いざバトル中も事前に説明したはずのこちらのトリックで対戦相手の引きつる顔を眺め続けるのは、使っている本人としても心が痛いわけで。

 強さで言っても、チャンピオンの性能が低くギャンガーの数が多いため、同じ金額投資するなら他のギャングの方が強いだろうと思ったことも何回もある。

 ゲーム的にも、最低限、ルールに書かれているfighter/modelの使い分けに敏感になったり、fighterのルールとfighterが所属しているギャングのルール、fighterのルールとequipmentの違い、そしてequipmentにしても雇用時の話なのかキャンペーン中の話なのかを理解しておかないと、アウトキャストリーダーのルールをフル活用したトンデモファイターは作れない。その代わり、他のギャングはアウトキャストリーダーの素材となるのでため、アウトキャスト以外のギャングについてもそこそこ詳しくなるメリットはある。

 そんなわけで、アウトキャストギャングは現状のネクロムンダで一番好きに遊べるギャングであるため、この自由度を求めている人は試してみても良いかも。ただ、キャンペーンの方針によってはアービトレイターからNGを受ける可能性が結構高いけど。

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