Tellurは、……現在色々物色中です。

『万事快調』の感想文

2007年10月4日  2007年10月4日 
著者:駕籠真太郎
出版:株式会社美術出版社
ISBN:ISBN4-568-73012-0 C3079
価格:1300円+税
発行:2000/03/25 (旧版)

 昨日は信仰している駕籠真太郎に否定的なことを書いたから、今日は僕がどんな作品を評価しているのか書きます。
 その前に、この本の裏表紙にはISBN-568-73012-0 C3079って印刷されてますが、正しくはISBN4-568-73012-0 C3079ですよね。
 さて、昨日は駕籠真太郎の面白さを
1.ギャグの面白さ 
2.スカトロを含めたグロテスクさをガジェットにしておりSFなどとして読むことが可能
3.「ある奇妙な法則に支配された世界の、それを何とも思わないで受け入れていく一般人」を描くことにより読者の頭を混乱させる
としました。『万事快調』は正にそれに当てはまっています。マンションの部屋のような個室で平行世界が展開される「万事」シリーズは平行世界が増えるにつれてネタが面白くなってきます。静夫くんが重度のサディストとか。
 二つ目は「動力」シリーズの銃器が人間の肛門から弾を発射するいつものアレである点からわかるでしょう。ついでに内臓とか流血とかのシーンもある意味グロいのですがブラックユーモアとして書かれているので笑ってしまいます。それはともかくとして、『超動力時空転移』中の性交シーン(賛太×マヤ)って完全に性的意味から切り離されていますよね。直前までのコマと流れがつながっていない上にマヤが賛太と性交する理由がない(というか性交シーンを書くためにストーリーをねじ曲げたのではないだろうか)。ここら辺のグロテスク性や性をおもちゃにするのが僕にとっては最高なのです。
 最期に「奇妙な世界」の「奇妙な法則」を徹底的に自然な感じで描くことは漫才でいうボケにボケを重ねて話を展開させることと同じ感覚がします。例えば『びっくり黙示録』なんかアキラって何? とか壁の外の世界はどうなってるの? とかなぜ壁に潰されないようにするためにとった方法が泥沼チック? とか疑問はたくさんありますが解決してくれません。それが何とも言えずカッコイイのですよ。
 この文章を書くために改めて読み返しましたがやはり面白い。ついでに駕籠真太郎の絵の変遷が、最新刊と合わせて読むことでわかります。『万事快調』の頃の女の子キャラの絵柄って可愛いのですよ。現在ああいう絵柄になったのは萌とかの記号を排除してキャラを画一化するためなのかな。
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