2008年5月2日金曜日

「まんがなぜなに教室」(まぐろ帝國)感想


 これは……良い意味で画力の無駄遣いと言うべきか何なのだか。
 基本的に感想を述べるのがすっごく難しいマンガだったりします。

 その理由は、このマンガは9・11直後のアメリカ・イラク・北朝鮮および日本の動向をパロディ化しているのですよ。ゆえにこのマンガについて言及すれば絶対に政治的な立場に触れる必要があります。つまり、作者のまぐろ帝國と政治上の立場が一緒だからこの作品を評価する、もしくはその逆を行うのではない、と。
 いやー、いきなりワールドトレードセンターが自爆テロに遭うシーンが1ページ目見開きで載ってたりするから、この手の不謹慎ギャグが好きな人にとってはたまらないのでしょうがねー。良くも悪くもメジャーでは載せられないか。
 リアルな人物を題材にすると面白くなくなる作家は駕籠真太郎だ、と前に書きましたが、まぐろ帝國の場合は題材が卑近であるからこそ面白いですね。

 適当な例を挙げると、平和美という女の子がいがみ合っているブッシュとフセインの前に現れて体を差し出し、仲直りさせて、ノーベル平和賞を取ったところで無視されていたビン・ラディンから自爆テロられるというマーベラスなお話もありますね。これで大体、このマンガの方向がわかると思います。
 そのくせ
完全に「物語」と手を切ることが出来ないにせよ、常に物語を疑うことは出来るはずだ。

と書かれます。もう、どうコメントしろと(笑)。
 こんな文が作者のコメントで出て来るエロマンガを読むときは覚悟しましょう。

 まあでも、まぐろ帝國にとってはこのマンガの政治的な立ち位置はある程度ネタなんだろうなと思います。mixiでこれを何か大まじめに受け取った人に出会いましたが、まぐろ帝國が100%大真面目に描いたとは思えません。まぐろ帝國は政治的なマンガに対してのコメントを茶化し、ほんの少し真面目だと仄めかす書き方をしていますので、「まんがなぜなに教室」が果たしてまぐろ帝國の本心かはわからないのですがね。個人的にはこのマンガを大真面目に受け取るのは危険だと思います。当時の政治に反感を持っていた人に対するリップサービスとしか思えない。

 ふと思ったのですが、今回の感想はまぐろ帝國という「作者」の意図について延々と考えていましたが、読者に作者を感じさせることのできるまぐろ帝國は凄いなと思います。僕は普段、作者の意図は邪魔だと思っているので、敢えて考えないのですが(=考えるのを忘れてしまう)、このマンガはそんなわけにはいかない。どんな感想を抱くにせよ、まぐろ帝國の意図を意識せざるを得ない、と思わせるのですよね。つくづく変な作品です。