「黒き微睡みの囚人」(ラヴィ・ティドハー 著、押野慎吾 訳、竹書房文庫、2019)
2019年2月17日
2019年2月17日
面白い。歴史改変SFの要素のある幻想小説めいた探偵小説といったところか。
1930年台後半のロンドン。共産主義がナチス党を破り政権を取ったドイツから逃れロンドンの難民街で探偵業を営んでいた主人公”ヘル・ウルフ”の元へ、同じくドイツから逃れる中で行方不明になったユダヤ人女性捜索の依頼が入る。かつてユダヤ人のドイツからの追放を主張していた彼だが生活のためその依頼を受ける。しかし彼を監視する何者かが起こした殺人の犯人にされ、アメリカのスパイが共産主義との戦争に備え再び彼をドイツ総統の地位に立てようと目論見、ヨーロッパ追放を掲げるイギリスファシスト党の重鎮…