Tellurは、……現在色々物色中です。

「のぞえもん」(藤崎ひかり、日本文芸社、2015)

2015年6月30日  2017年2月24日 
話題になった時はすでに回収後だったので、某マンガ喫茶で読んだ。ちなみに原則、この感想文ラベルを付けるのは完結した作品のみなので、つまり僕の中でこの作品はもう完結したとみなす。  それはともかく、この本をわざわざ回収する意味はあったのか?  もちろん、一読というか表紙を一見しただけでドラえもんのパロディだってことはわかる。  ただ、設定はドラえもんから要所要所で変えた結果、似ても似つかないものに変わってるし、ストーリーの運び方に至っては良い意味でも悪い意味でも今風のマンガ。  質の悪いパロディを出すでない! と天国からお怒りがあったのかと思うほど別物だ…

「トゥモローランド」(ブラッド・バード、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、2015)

2015年6月17日  2017年2月24日 
たぶん皆言っているだろうが、でも僕も書いてしまう。オールドスタイルの近未来の描写が素晴らしい、と。 この映画の魅力の大部分がビジュアルであったことを否定する人は少ないのではなかろうか。  僕はディズニーランドのことをあまり詳しくなく、よってトゥモローランドがそもそもどんなアトラクションかわかっていない。イッツ・ア・スモールワールドの音楽とともに人形いっぱいの広間を抜けるという理解に留まっており、そんな僕でも特に映画の理解を妨げなかったのは果たして「トゥモローランド」を題材にとった映画として幸せだったのか判断できない。もっとも、ディズニーランドが好きな…

「現代の民話」(松谷みよ子、河出文庫、2014)

2015年6月9日  2015年6月9日 
物語に絡め取られた知性の悲劇。  民話について考察する本……と一見すると思えるだろう。しかし読み進める内に何かが違うことに気づく。  第三章「抜け出す魂」以降ではっきりとわかるが完全にオカルト話のビリーバーになってる。それは民話の社会的背景や歴史的なモチーフを語らず個々の物語の登場人物に感情移入することでわかる。民話としては誰がどういう形で殺されたとか、どういう気持ちだったかとかそんなディティールは正直必要ないのだが恐らく著者の関心の的だったのだろう。  また、文章の構造が半ばオカルト話の紹介集なので、民話の採取もどこまで網羅的なのかわからん。  途…