Tellurは、……現在色々物色中です。

「とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢」(ジョイス・キャロル・オーツ、河出書房新社、2013)

2017年8月20日  2017年8月20日 
ある種の精神的な病、トラウマ、神経質な人物が事件を引き起こし、それが現代アメリカの問題を表している作品、とでも言うべきか。日本人の僕からすれば訳者解説での説明が必要だが、読めばなるほど、と思えた。とは言え、技巧は良いのだが、作品のテーマや内容に大して技巧がアンバランスに勝っており傑作とは言いがたかった。  それが一番出ているのは、ストーリー部分。ストーリーはかなり類型的で、ホラーや奇妙な味系を読む人からすれば途中まで読むと落ちがわかる作品がちらほら見られる。人物構成も重なっている作品があることから、そのため読んでて飽きやすい。  それが一番表れたのは…

「メアリと魔女の花」(スタジオポノック、2017)

2017年8月1日  2018年12月3日 
ポストジブリ作品……という評価で良いのだろうか。  リアルタイムで、しかも映画館でジブリ作品を見るのは覚えている限りでは初めてなのだ。  原作は読んでないのだが、偶然手に入れた魔法の力で魔法の国へ行った女の子が嘘をついてしまい、それが引っ込みつかなくなって……というストーリー。現実世界で何の取り柄もないお年頃の主人公というのは、この前見た「 ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち 」に通じるものがあるが、本作はちゃんと冒険が終わると現実世界に戻り成長するので安心して見ていられる。  ところで気になったのだが近年のファンタジー作品は、魔法世界と非魔法世界を比べ…

髑髏城の七人 シーズン鳥

2017年8月1日  2017年8月1日 
初めて髑髏城の七人を、劇団☆新感線を観た。この演劇は客席が360度回展するのが売りになっており、どういうことかわからなかったが、体験してみて納得。これは演劇として凄いことだ(と演劇を見ていないにも関わらず感じた)。  普通、演劇って舞台が1つなので場所の転換があまりなかったり、セットを組み立てる時間がかかったりする。なので演劇は背景を使いまわしたり、場所を動かないものだという思い込みがあった。  この劇場では客席を囲むように舞台が作られ、幕で客が見ることのできるセットを制御している。そのため客席を回転させればシームレスに場所を移動でき、さらに1つの背…