Tellurは、……現在色々物色中です。

「裏世界ピクニック」(宮澤伊織、ハヤカワ文庫JA)

2017年10月10日  2017年10月10日 
確かこの作品を読もうと思ったのは都市伝説についての小説という触れ込みだったからだっけ。  「裏世界」という諸星大二郎氏が描く異界のような世界を主人公2人が各々の目的で探検するという内容で、そこではくねくねみたいな都市伝説の存在が実在しているという設定。読み進めると都市伝説のキャラクターたちは認知論をベースにした理屈で存在しており……まあ「 奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い 」と読んだ感覚は似ている……怪奇ネタを題材にしたSFと言った感じ。ホラー作品だと甲田学人氏のMISSINGの方が(方向性が違うから当たり前だが)圧倒的に怖かった。  続きが気に…

「奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い」(木犀あこ、角川ホラー文庫、2017)

2017年10月10日  2017年10月10日 
ホラーには馴染みがない僕だが、知り合いから紹介されて読んだ。  ホラー小説の文脈がわからないので不安もあったが、中々面白かった。むしろSFに近い。巻末にこの作品が受賞した日本ホラー小説大賞の歴代作品が載っているが、パラサイト・イヴとか輩出したんだね。そりゃSFとも親和性があろう。  内容的を大まかに書くと、人間の持つ恐怖心を脳科学でハッキングする系列で、似た雰囲気の作品としては「 裏世界ピクニック 」(宮澤伊織、ハヤカワ文庫JA)が挙げられる(そう言えば「裏世界ピクニック」は感想文書いてないな)。超自然的な存在が世の中には実在しており、主人公には知覚でき…

「ゴーレム100」(アルフレッド・ベスター著・渡辺佐智江訳、国書刊行会、2007)

2017年10月10日  2017年10月10日 
先に書いておくと、タイトルである「ゴーレム100」の「100」は百乗である。だから本来は「ゴーレム 100 」なんだけど、面倒だからこの記事では「ゴーレム100」と表記する。 さて、アルフレッド・ベスターの作品はタイポグラフィや言葉遊び、イラストが用いられる傾向がある。ある、と断言したが、実は僕は彼の作品は「ゴーレム100」しか読んだことがないのでその小説としての面白さまではわからない(「虎よ、虎よ!」は立ち読みでタイポグラフィだけ見て満足しちゃった)。 奇抜な表現は「ゴーレム100」でも多く使用されており、文体だけでもスラング混じりのガフ語に加え、蜜蜂…

9月30日のホビージャパンゲーム会へ参加した

2017年10月6日  2017年10月6日 
遊んだゲームは、「 宝石の煌き 」(拡張版込)、「 シークレット:米ソ諜報戦 」。他2つほど軽いのを遊んだけど、合わなかったので割愛。  「宝石の煌き」は相変わらず面白い。コンポーネントが豪華なのが一番良いところ。3回遊んでも、まだ戦略が見えてこない……。  拡張版はゲームの性能を根本から変えるデザインとなっており、飽きさせないようにする工夫が感じられる。初心者が簡単に把握できるようなルールではないんだけど、しっかり遊びごたえがあって良いなあ。  正体秘匿ゲームの「 シークレット:米ソ諜報戦 」。人狼をボードゲーム化し、会話から正体を推理するのをカードアクション…

「ずっとお城で暮らしてる」(シャーリィ・ジャクスン著、市田泉訳、創元推理文庫、2007年)

2017年10月5日  2017年10月5日 
田舎という閉じられた世界に対する恐怖と言うべきか。ネットの発達した現在の方がリアリティを感じると思われる。  僕の親の本家は田舎にあり、親は都会に出てきた人間である。親の話を聞く限り、その昔、表沙汰にはならなかったものの本家の人は金(田畑とか漁業権とか山の権利みたいな意味ね)を騙し取られたとかあったらしい。それも近所など近しい人から。今は何とかその損失も消えたが、それでも僕の親世代の本家の人々は貧乏暮らしだったらしい。なので今でもお金はあまりなく、年金を元にした貯金と家(と二束三文の山)だけが相続できる財産で、本家の長男は姉妹と骨肉の争いをしているら…