Tellurは、……現在色々物色中です。

「プロジェクト:シャーロック 年刊日本SF傑作選(2017年度)」(大森望/日下三蔵 編、創元SF文庫、2018)

2018年7月23日  2018年7月23日 
なぜか毎年買い続けている。ところで、収録されているタイトルと作者を東京創元社のサイトからコピペしたのだが、なんで収録順じゃなくて50音順で並べてるのだ……。収録順へソートするのが面倒くさいではないか!  トップを飾る「 ルーシィ、月、星、太陽 」(上田早夕里)は海洋SFだ。人類が絶滅した後、人類の子孫である種族が独自の文明を築くため7つの海を冒険する物語……に繋がりそうな世界設定だけを書いた最序盤の作品。主人公の種族はそこまで独自性があるとは思えず、物語としてもよくあるというか、序の序しか描かれてないのでさすがに本作品単品だと微妙だと思う。 去年 の「プロテ…

「The Rabbits」(John Marsden著、Shaun Tan絵、1998)

2018年7月23日  2018年7月23日 
この作品が世に出たのは1998年らしい。そのため今の視点から色々言うのはフェアじゃない、とは思うのだが……。  実は僕はこの作品が出版されていたことを知らず、この前ソフトカバー版を買ったのだった。英語だ、面倒だなと思っていたが何とか読み切れた。しかし内容に引っかかった。移民のアレゴリー? それともアメリカ大陸やオーストラリア大陸入植者?  ショーン・タンのサイト では植民地主義に関する話とのことだが……。  ストーリーは、森の獣が楽しく暮らしてたところ、rabbitsがやってきて、最初は森の獣にも得だったが次第にrabbitsの数も増え、持ち込まれる動物…

「ゲイルズバーグの春を愛す」(ジャック・フィニイ著、福島正実訳、ハヤカワ文庫)

2018年7月6日  2018年7月6日 
某読書会課題図書。  SFでもなくホラーでもなく、かといってファンタジーというほどリアルな世界から遠ざかっていない……。それでいてガジェットは幽霊だったり時間移動だったり、魔法のような道具だったりする。こういう作風をなんと呼ぶべきかわからないが、ネットで検索したところ「『世にも奇妙な物語』風」というなかなか本質を突いた表現を見つけたので、それをお借りしよう。  ジャック・フィニイの作品は初めて読んだが、現実に立脚していながら、その現実を越えたファンタジー(大塚英志氏の言葉を借りるならマンガ的リアリズム)に惹かれた作家だと読めた。解説によると古き良き時…

「禅銃」(バリントン・J・ベイリー著、酒井昭伸訳、ハヤカワ文庫)

2018年7月6日  2018年7月6日 
いろんな意味でバリントン・J・ベイリーは時代を先取りしていたなあ、と改めて感じた。後退理論という空想科学、ストーリーよりも設定のほうが大事と言わんばかりに突如差し込まれる説明、銀河に散らばったのは良いものの人間の数が少ないから遺伝子改造された知性化動物(でも2級市民)、一方でロボットは知性を持つのに市民扱いされないので人権を求めストライキを行っている有様、そして当の人類は教育を施し若く(10歳とか)ても銀河帝国の要職に付け乱痴気騒ぎを繰り広げ、その癖若い女性では顔にシワを作り老成させるのが流行りだったり、ついでに物語後半で人間が生きたままバラバラに組…

「多々良島ふたたび──ウルトラ怪獣アンソロジー」(7人の著者、ハヤカワ文庫、2018)

2018年7月6日  2018年7月6日 
薄々感じていたが、僕はウルトラマンではなく怪獣が好きだった。それも悪の組織から侵略のため操られるような目的のある怪獣ではなく、偶然長い眠りから目覚め不機嫌に街を壊す自然災害のような怪獣だ。僕が好きな怪獣作品も結構そういうのが多く(パシフィック・リムとか例外はもちろんあるけど)、「 MM9 」も初代が好きなのだ。  実のところ、どうも僕は怪獣と退治するウルトラマンですら怪獣の1種と捉えているらしく、ガメラや正義のゴジラ的な理解しかしていない。怪獣が怪獣を倒すのは単なる縄張り闘いの結果であって、人間はそんな災害に巻き込まれて右往左往するだけの小さい存在に過ぎ…